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ハンバーグステーキとハンバーグ [超ショートショート]

ハンバーグ.jpeg

私は、ハンバーグステーキセットにするか、ハンバーグセットにするか迷っていた。
そんなどっちでもよさそうなことで迷うなんて馬鹿らしいと、大概の人が思うであろう。

実はこういうことだ。
私がランチタイムに訪れたこの喫茶店。
ハンバーグステーキがハンバーグの高級なものだと思い込んでいるのだろう。
ランチセットの値段が3百円も違うのだ。
ハンバーグセット7百円。
ハンバーグステーキセット千円。

ハンバーグステーキは、ハンブルグ風ステーキという意味で、ハンバーグとはその略語だ。
ハンバーグステーキもハンバーグも全く同じものだ。
そんな事は分かっている。
この際、真実なんてどうでもいい。
真実よりも、目の前の現実だ。
店の人に本来、ハンバーグとハンバーグステーキは同じものなんですよと説明したって、全く意味はない。
いや、意味はないことはないかもしれない。
明日から、ハンバーグとハンバーグステーキがどちらかに統一されるか。
ハンバーグステーキがデラックスハンバーグ、もしくはハンバーグがスタンダードハンバーグステーキなど、名前を変えるか。
そのような変化が起きるならば、意味があることと言えるのかもしれない。
しかし、それはあくまで私がその指摘をした後の話だ。
これから注文をしようとするこの瞬間には全く意味はない。
名前は関係ない。単純に値段と想像されるクオリティの妥当性で決めればいいと思われるかもしれない。
その通りだ。
しかし、そのクオリティが、3百円という絶妙な値段の差によって、想像を難しくしているのだ。

入店してから、もう十分以上経過している。
店もそこそこ混んできている。
最終結論はすぐにでも出さなければならない。
ハンバーグならば、普通のお店と変わらない値段なので、相応の満足ができそうな気がする。
ハンバーグステーキならば、値段の差どおりのクオリティであれば、よりハンバーグよりも良い満足が得られるはずだ。
しかし、外れだった場合…。
どう考えてもハンバーグステーキの方がリスクが高そうだ。

無難に行くなら、ハンバーグで決まりだ。
だからといって、無難でいいのか。
無難を選べば、最良の結果は得られない。
得られるのは、そこそこの結果だけだ。

いよいよ決断の時が来た。

私はハンバーグステーキを選んだ。
出てきたランチを見て、私は驚いた。
ハンバーグステーキではなく、ハンバーグ・ステーキセット、つまりハンバーグとステーキのセットだったのだ。


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