伝えるべきこと [超ショートショート]
頭の中に異物が入り込んで、好き勝手暴れているような猛烈な痛みに襲われた。
予兆は全くなく、本当に突然の痛みであった。
いったいこの頭痛は、なんだろうか?
一つわかっていることがあります。
同じような突然の頭痛に見舞われた友人は、その数分後に耳や鼻、顔中のあらゆる穴から血を噴出させて死んでしまった。
二つ目に気づいたことがあります。
その友人は、私の数分前にこの場所に着いていたこと。
そして、三つ目に理解したことがあります。
当然の帰結として、私に残されている時間もそう多くはないということ。
さて、この頭痛は何だろうか?
この場所は高濃度の毒に侵されていたのです。
私にできることは、これ以上の犠牲を出さないように、後から来るものに、この場所の状況を知らせること。
しかし、通信機は用をなさない。
毒のせいなのか、うまく話すことさえ叶わなくなっている。
入口に何らかの印を残すしかない。
何かを記せるようなものは何も持っていない。
石で傷をつけて、入口の扉に大きな×をつけよう。
私は入口の扉を見た瞬間、その行為の虚しさに気づいた。
既に、×は書かれていたのだ。
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伝えたいこと、伝えるべきことが先達によって示されてて、気づかないことも多いよね。共感
by にしざき (2019-07-05 11:09)