宇宙に行く夢 [超ショートショート]
私はどうしても宇宙に行きたいと思った。
たしかに、障害がある。
というか、障害しかないと言っても差し支えない。当然、当たり前のことであって、障害というのも憚られる。
そもそもが無理だと思える願望だ。
まず、いまだに宇宙に行ったことのある人は全世界の人のうちのほんの一握りであること。
普通の人も宇宙に行ける時代が来たとしても、それは相当なお金持ちであって、私はごく普通のフリーターだ。
加えて、私は閉所恐怖症であり、とても宇宙服を着ることはできないであろう。
しかし、私は決して、あきらめない。
やるだけのことはやってみよう。
私が宇宙に行きたいと思ってから二十年後。
私は夢を叶えることができた。
世界が注目する宇宙ステーションでの実験。
その実験室の中に、人間の脳髄が生理食塩水の中に浮いていた。
そう、彼は臓器として宇宙に行く夢を叶えたのだ。
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2019-06-29 11:25
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