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小説らしきもの11 [小説らしきもの]

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明るい時には、何度も通った見慣れた道も、暗い中歩いていると、
何だかよそよそしく、知らない街に来たかのように感じられる。

「自分が住んでいる街を
まるで初めて来た街のように思い込んで散歩していると
本当に知らない街にひとりぼっちでいるかのように感じられる」
なんてことを書いた小説があるらしい。
わざわざ思い込んだりしなくても
いつもと違う暗い道を歩いてみればいい。
誰にも出会うことがないと、この世に一人だけ取り残されてしまったように感じたりもする。

そういや、まだ小さい頃に
目をつぶったら、その瞬間に世界が消えてしまうような気がして
夜、寝る時に悲しくて毎日泣いていたことがあった。
なぜ私が泣いているのか
ある時、母に理由を尋ねられたが
私は頑として答えなかった。
だって、目をつぶると世界が消えてしまうのが本当で、
母にその事を当然のように肯定されてしまったとしたら!

実のところ、今でも自分の見ていないところで世界は存在していない可能性があるのでは?と疑っている。


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